長時間労働も時にはある

 グーグルでも、プロジェクトの山場やトラブル対応、案件入札前などの締め切り前は、長時間働いている人が多い。より高いアウトプット、成果、クオリティーを求めて「自己管理」で長時間働いている人もいたという。

「OKRで“3カ月後までに結果を出して、昇進したい”と、目標と計画を明確にして、その間、集中して長時間働いている人も多かったですね。そういう時期があってもいいと思います」とセントジョン氏は振り返る。

「重要なのは、時間でなく成果で評価することです。実際に求められた結果以上出せば、見返りがあります。長時間労働すなわち悪、残業は絶対にしてはならない、というわけではありません。長時間労働が慢性的になり、パフォーマンスが落ちる結果になるかならないか、そこも自己管理が必要となります」

人材が流動化することでパワーが生まれる

 これまでの話には、日本企業にも通じる考え方があったのではないだろうか。だが、制度上、どうしても日本とアメリカの企業とで差が出てしまう点がある。それが、人材の流動性だ。

「私がここサンフランシスコで骨身にしみて感じているのは、人材の流動性のすさまじさ。特にシリコンバレーは格別です。この流動性は、良くも悪くもパワー以外の何ものでもなく、日本でいま現在、欠けているものなのかもしれません」とセントジョン氏は語る。