グーグルはなぜ働きやすいのか? なぜ社員たちがモチベーション高くイキイキと仕事し、「働きすぎ」にならず、成果を上げることができるのか?
グーグルに約10年間勤め、現在は米国・サンフランシスコで日米スタートアップビジネスの支援をするセントジョン美樹さんに、前編に引き続き、同社でうまく作用していたコミュニケーションや時間管理について紹介してもらう。最後には、日本にはない「人材の流動性」の効用と、日本でも取り入れられる働き方改革のためのヒントを提示したい。
グーグルでは「部下の人数は8人まで」
前編では、グーグルが採用している目標管理の仕組み「OKR」を紹介した。グーグルで特徴的な働き方の仕組みとして、OKRと両輪をなすもう1つが、「1on1(ワン・オン・ワン)」である。グーグルでは、週に1回のペースで上司と部下との間でこの場が持たれているという。
OKRで目標と成果を明確化してある前提で、1on1では業務に関することもそれ以外の個人的なこともざっくばらんに会話する。人間として相手のことを知り、また相手の状況を知るのが目的となる。「質の高い雑談」とも呼ばれている。
時間は1時間または30分など、その時によって自由に設定する。内容は、「最近どう?」といったフランクな近況報告から始まり、体調や悩み、その人の仕事への取り組み方、不満のポイント、ライフスタイルとの整合性などを、上司が理解する場となる。
「グーグルでは、部下の人数は8人以内としていました。チームとして最高のパフォーマンスを出す人数を統計的に割り出した数字が8人だったからです」
部下の人数が制限されていたことで、上司との週1回の1on1が可能だといえる。誰かが支配したり、その場にいない人を排除したりすることがないようなチーム作りをすることが1on1を実施するカギなのだそうだ。