国際連合や世界保健機関(WHO)では、全人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合が21%を越えた社会(国)を「超高齢社会」と定義しています。日本で高齢者の割合が21%を超えたのは2007年、超高齢化社会となってすでに10年以上の月日が流れているのです。
そして団塊世代が70代を迎えようとしている今、経済社会や医療など多方面で高齢者の動向はますます無視できなくなっています。例えば、高齢者の住まいもその一つです。かつては現役時代に購入したマイホームに生涯住み続けるのが一般的でしたが、最近ではリタイア後に現役時代の広すぎる家から賃貸物件への住み替えを選ぶ人も増えています。
中でも、リタイア後の住まいとして注目を浴びているのが「サービス付き高齢者向け住宅」。文字通り高齢者向け施設の一種ですが、2011年12月の全国約3千戸から2018年4月には23万戸強と急増しています。なぜ今、この施設の需要が高まっているのでしょうか? 背景にある国策を読み解くことで、その理由と今後の不動産市場におけるヒントが見えてきそうです。
国を挙げて推進する、サービス付き高齢者向け住宅とは
「サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)」とは、介護が不要な高齢者のための住宅のことで、「サ高住」「サ付き」などと略されることもあります。食事や入浴、排泄など生活に関わる全てのサポート体制が整っている有料老人ホームと違い、サ高住で義務付けられているのは、「安否の確認」と「生活相談」のみです。