【連載第4回】
2017年は日本が没落の一途をたどるばかりであることが明らかになった年でした。国際社会における日本のプレゼンスはこの30年で低下する一方であったのに対し、中国の成長は目覚ましく、世界経済は米・欧・中の三極体制に移行しつつあります。完全なる敗北と緩やかな衰退の中で日本が今やるべきことは、将来を全く視野に入れていない「人づくり革命」でも「生産性革命」でもありません。2017~2018年の世界・日本の動きを俯瞰し、2018年のビジネスに役立つ、大前研一氏による国と企業の問題・トレンド解説をお届けします。
「人材格差」が即経済格差につながってきた1年
2017年の総括を端的に言うと(図-29)、「人材格差」が経済格差につながってきた決定的な1年であったということです。
もはや日本には時価総額でトップ20に入る企業はありません。企業が今後いくらの富を生み出すかというものを現在価値に引き伸ばしたものが時価総額ですが、世界トップレベルの時価総額となれるようなところがないのです。
中国では国主導でやってきた国策企業が陰り、新しい起業家たちが起こした企業がトップに躍り出ています。