登壇したジャック・マー。カジュアルな服装だった(筆者撮影、以下同)

 こんにちは。去る4月25日に早稲田大学の大隈記念講堂で、中国最大手IT企業アリババの創業者、ジャック・マー(馬雲)の講演会が開かれました。世界の企業時価総額ランキングでベスト10入りをしたスーパー企業の、トップの謦咳(けいがい)に接する機会はそうそうありません。私も大隈講堂の2階席で、興味深く彼の姿を観察していた1人です。

 ところでこの日は、ジャックの他にもう1人の主役がいました。それは質疑応答が始まった後、会場内の1121席がほぼ満席である講堂の2階席の最後列にいたにもかかわらず、「I have a question!」と元気に声を上げて質問権をもぎ取った小学生のあなたです。

 マイクを握ったあなたは、自分が若き日のジャックと同じように、公園に行って世界中の旅行者と話をすることで英語を身につけたと話しました。昨年(2017年)に英検1級に合格したと伝えたとき、壇上のジャックが親指を立てて「いいね」とジェスチャーしたのに気づいたでしょうか。ジャック自身も言っていたように、あなたの英語はまさにパーフェクトでした。

「ITはどのように教育を変えますか? また、アリババはそれに対してどのような働きかけをしていきますか?」

 それ以上に素晴らしかったのは、あなたの質問です。ITとプログラムが好きだと自己紹介したあなたは、アリババの事業の内容やジャックの個性をしっかり把握したうえで、自分の個性と擦り合わせた的確な質問をおこなっています。ジャックがこの日のイベントでいちばん嬉しそうな表情を見せたのも、むべなるかなというところです。