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米朝首脳会談実施を評価、安倍首相

安倍晋三首相(2018年3月9日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / Toru YAMANAKA〔AFPBB News

【連載第3回】

 2017年は日本が没落の一途をたどるばかりであることが明らかになった年でした。国際社会における日本のプレゼンスはこの30年で低下する一方であったのに対し、中国の成長は目覚ましく、世界経済は米・欧・中の三極体制に移行しつつあります。完全なる敗北と緩やかな衰退の中で日本が今やるべきことは、将来を全く視野に入れていない「人づくり革命」でも「生産性革命」でもありません。2017~2018年の世界・日本の動きを俯瞰し、2018年のビジネスに役立つ、大前研一氏による国と企業の問題・トレンド解説をお届けします。

安倍政権の政策では「国難突破」できない 一丁目一番地の改憲すらお粗末な提案

 第4次安倍政権は多くの政治的課題に直面しています(図-22)。

 安倍首相が「この解散は『国難突破解散』だ」と述べ、2017年10月に総選挙が行われた結果、自民党の圧勝で発足したのが第4次安倍内閣です。経済再生、財政再建、社会保障、外交・安保、エネルギー・環境、地方創生、防災、教育、農林水産、憲法改正・・・。

 1つ1つを吟味してみると、5年もやっている割には成果が出ているものが全くありません。その都度テーマを変えてきており、一貫して取り組んで成果をあげているものが見当たりません。

 例えば地方創生ですが、成果がほとんど出てきていません。

 よくこの政権が続くなと思うのですが、しかし「この道しかない」で続いてしまうのです。北朝鮮の問題が出てくると今度は「この国を、守り抜く。」ですが、具体的にどういう方法で守るのかを訊く人がいません。先生の言うことを聞いてそのままで質問なんかしないという人間を大量に生み出してきた、日本の教育の賜物です。