【連載第2回】
2017年は日本が没落の一途をたどるばかりであることが明らかになった年でした。国際社会における日本のプレゼンスはこの30年で低下する一方であったのに対し、中国の成長は目覚ましく、世界経済は米・欧・中の三極体制に移行しつつあります。完全なる敗北と緩やかな衰退の中で日本が今やるべきことは、将来を全く視野に入れていない「人づくり革命」でも「生産性革命」でもありません。2017~2018年の世界・日本の動きを俯瞰し、2018年のビジネスに役立つ、大前研一氏による国と企業の問題・トレンド解説をお届けします。
緩やかに回復し、三極体制に向かう世界経済
回復傾向の中で日本は平均を下回る成長率
まず初めに主要国・地域のGDP成長率を見ておきましょう(図-1)。
2017年は2016年よりも押しなべてよかったという具合です。先進国、また新興国や新興地域を見ても、中東や北アフリカを除いては成長率が上がっています。
BRICSはもう軒並み見る影もないのですが、中国とインドだけはまだ6パーセント台の成長率を保っています。
中国の成長率は2018年には6.4パーセント程度に落ちるであろうと言われていますが、それでもまだ6パーセント台なのです。
インドは意外に健闘していますが、まだまだ6パーセント台に甘んじることなく伸び続けないと国全体が貧困から抜け出すのは非常に難しいでしょう。
GDP成長率の世界平均は3.6パーセントですが、日本はそれをはるかに下回り1.5パーセントです。アベノミクス新3本の矢で掲げられた、2020年ごろに名目GDP600兆円の目標を達成するには年率3.45パーセントの成長が必要となる計算ですが、2.0パーセントさえ遠い先のことになりそうです。