中国ではここ数年、「清明節」(日本でいうお盆)が近づくころになると、メディアがこぞって墓地価格の高騰を取り上げ話題になる。中国のお年寄りにとって、今、最も気になる事柄の1つが墓地の価格と言われるほどだ。
2年ほど前には、上海市民が郊外にある崇明島という島で住宅を購入し、そこに家族の遺灰を安置するケースが多発。清明節の時期に家族で訪れ、アパートの廊下で紙銭(供え物の紙幣)を燃やす人がいたことも発覚した。このことは、「気づけば隣に住むのは人ではなく、遺灰だった」などと冗談めかして報道され、世間をにぎわせた。
崇明島だけでなく、北京や広州などの周辺都市では、今でも同様の“非常識な事件”が起きているそうだ。
現在、住宅価格が1平方メートル当たり平均6万元(約102万6000円)を超える上海市で、崇明島は同2万元前後と3分の1以下。場所によっては1万元を下回る物件もあるといい、20平方メートル程度の住宅であれば、20万元前後で購入することが可能だ。
一方、上海市の墓地の平均価格は住宅とほぼ同水準の1平方メートル当たり6万元で、1件10万元以上する墓地が多いとされる。高級墓地になると40万元を超えるものもある。当然ながらこれはお墓自体の価格で、墓石に掘る名前や文字の彫刻料、オプションで付ける石像物などは別途料金がかかり、倍程度の価格に跳ね上がると言われる。