その一方で、断酒してからの生活を、「4LDKのなかの二部屋で暮らしているような、独特の寂しさみたいなもの」と例えるように、アルコールがもたらしていたメリットも決して否定しません。あくまでも冷静沈着かつ客観的に、自身の経験と思考だけで、アルコールの本質に迫っていく手法は、実に見事なものです。
ちなみに、なぜアルコールに走るのか、といった前述の疑問。歯に衣着せぬ言い方が持ち味の著者の手にかかれば、身もふたもない回答になっています。ぜひ本書で確かめてほしいのですが、妙に納得してしまうところが面白いものです。
読み終えると、明日は我が身かも、と感じてしまう酒飲みは、私だけではないはず。今晩は、本書を片手に晩酌してみて下さい。きっと酒量が減り、体には優しい結果になることでしょう。
「太らない、翌日に残らない、病気にならない」
といいつつも、仕事での接待から、付き合い、そしてストレス発散と、なかなか飲むのは止められないものです。
私も、兼任している職種のうち、外商部としては取引先のお客様と商談を兼ねて、また弊店チェーンの商品管理部(本部)としては出版社との打ち合わせを兼ねて、飲む機会が多々あります。しまいには弊店フェザン統括店長のT氏からは、「一週間で八日飲む男」とのありがたくない異名をいただくほどになってしまいました(笑)。
もちろん、誇張された話といえ、飲み過ぎていることは確かでしょう。そんな私の強い味方が、『酒好き医師が教える 最高の飲み方』(浅部伸一監修 葉石かおり著、日経BP社刊)。
悪酔いしないためのつまみの食べ方や、つらい二日酔いを回避する方法といった体に良い酒の飲み方に加え、大腸がんや膵炎を始めとする病気と酒との因果関係・・・。酒飲みであれば、いちどでも考えたことがある疑問や、知っていて損はないマル得知識を、エッセイストで酒ジャーナリストである著者が、医師や専門家に取材してまとめたのが本書です。