「太らない、翌日に残らない、病気にならない」
カバーに書き込まれたこのキャッチコピーが、何より輝きを放っている本書。酒飲みの理想が描かれており、これだけでも手に取ってみたくなるもの。そしてその読みやすさ。
どうしても専門用語やデータが飛び交い、堅苦しくなりがちな内容を、うまく読みやすく仕上げているのは著者の酒に対する愛情の賜物でしょう。健康書のジャンルを中心に、酒の飲み方について論じた書籍は数多く出版され続けてきました。そのなかでも本書は、その装丁から見やすさ、また実用性からいっても、三本の指に入る傑作だと思います。
さぁ、あとは本書の内容を実践して、その正しさを証明するだけです。そのために、今夜も街に繰り出すことにしましょうか・・・。
「昼酒」が似合う男になりたい
ところで、そんな酒飲みの私の最大の野望は、気兼ねなく「昼酒」を楽しむこと。ここ盛岡では、そもそも昼から営業している呑み屋が少なく、また狭い街のため周囲の目も気になります。出張先での機会も探りましたが、仕事ですので、さすがに昼から飲むわけにいきません。休日の外出は家族が一緒のことが多いため、自然にハンドルを握ることになります。
近いようで、遠い昼酒への道のり。そこで今は、『ランチ酒』(原田ひ香著、祥伝社刊)を読んで、イメージの中だけでも昼酒を楽しむようにしているのです・・・。
本書の主人公は、バツイチの犬森祥子。夜から朝まで寝ないで付き添う「見守り屋」というちょっと変わった職業に就いています。
そんな祥子のもとに、シングルマザーとその幼い娘や、痴呆症の老女、人づきあいが下手な女流漫画家などから、ちょっと訳ありの依頼が舞い込み、一話完結の形で物語は進んでいきます。さらに、憎しみ合って別れた訳ではない元夫の再婚話が持ち上がって・・・。それぞれに寂しさを抱えた依頼主を受け止めながら、成長していく祥子の姿が見どころのひとつである本書。