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 というような式の形は、整関数の積分の形そのもので、いちいち暗記するとかいう代物ではありません。

 しかし、日本国における高等学校の物理という教科は、なぜかこの極めて人為的なルールによって、微分も積分も用いずに、かなり人工的な方法を工夫して、古典力学や電磁気学、熱学や量子論などの現代物理を「平易な算術」だけで教えている。

 先に今回の一連のコラムの結論の1つを書いてしまうなら

 こんなルールは日本国内でしか通用しないものであること、半歩日本を出た国際社会の一線では、全く通用しないもので、こんなビニールハウスの中で競争試験をしてみせて、席次がいいとか、偏差値がどうのとか言っても、およそ通用するものにはならない。

 遊戯のための遊戯にしかならない。それによって本来は世界に雄飛すべき若い人たちの知性と可能性を大きくスポイルしてしまっているリスクを、ここでは強調したいと思います。

 本来、物理で微積分は非常に露骨で分かりやすいわけですが、これを広げて一般化した議論はあまり目にしないように思いますので、もっとはっきりと記していきたいと思います。

 物理で微積分が使えない、というのは、微積分に限った話ではなく、要するに、高等学校で習う数学全般を「高校物理」では使うことができないということにほかなりません。どういうことでしょうか?

 つまり、高校物理と言っているものは、事項だけは新しいファクトが関わるけれど、現実に用いているロジックは、ほぼすべて中学以下の義務教育の算術しか使ってはいけないという、極めて強いくびきを課せられたものであるのが、お分かりいただけるかと思います。

 これは物理だけではありません。高校の化学でも、四則演算以上の計算など出てきません。化学の入試問題で計算させるなどといえば、せいぜい熱化学方程式の足し算引き算程度で、論理的に高度な演算など、何一つ出てこない。