アメリカでの高齢者の「孤独感」「社会的孤立」「一人暮らし」の社会的影響に関する研究では、多くの報告が発表されている。

 米ブリガムヤング大学のホルト=ランスタッド教授らは、社会的孤立や孤独感が、喫煙や暴飲暴食、運動不足と同じように、高齢者の死亡リスクを高めることを明らかにした。さらに、ホルト=ランスタッド教授は、「一人でいても幸せを感じている」と回答した人でも、「多くの社会的なつながりを持ってはいるけれど孤独」という人と同様に死亡リスクが高かったと報告している。つまり、孤独を感じていない一人暮らしの人に関しても警鐘を鳴らしている*4

*1:内閣府「平成29年版高齢社会白書
*2:内閣府「平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査結果
*3Jo Cox Commission on Loneliness
*4:Julianne Holt-Lunstad et al.Loneliness and social isolation as risk factors for mortality: a meta-analytic review”. Perspect Psychol Sci. 2015 Mar;10(2):227-37.

日本人は世界で一番「孤独」だった

 日本人はというと、60歳以上を対象にした内閣府の国際調査*5では、「家族以外に相談あるいは世話をし合う親しい友人が誰もいない」と回答した人が25.9%と、4人に1人以上という結果が出ている。制度の問題もあるかもしれないが、欧米諸国と比較すると高い数字を示している。国内の65歳以上の高齢者人口3514万人(2017年9月15日現在の推計*6)で単純計算しても、高齢者だけで910万人を超える人が親しい友人がいないということになる。

 さらに、2005年に経済協力開発機構(OECD)が行った世界レベルの統計においても、若年者を含めた孤立傾向にある人の割合が25カ国中で日本が最も高い*7

 さまざまな研究発表で共通していえるのは、女性よりも男性のほうが孤独を感じている人が顕著に多いということである。

*5:内閣府「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果
*6:総務省統計局「統計トピックスNo.103 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)
*7:OECD “Women and Men in OECD Countries