おひとりさまの高齢者、急増中
少子化、核家族化、非婚化、さらに熟年離婚、パートナーとの死別も加わり、家族構成は大きく変化している。
2017年に公表された内閣府の調査によると、65歳以上の一人暮らしの高齢者は1980年では88万人(男性約19万人、女性約69万人)であったが、2015年には592万人(男性約192万人、女性約400万人)と、35年で6.7倍。高齢者がいる世帯の4世帯に1世帯が「高齢者の独居世帯」*1となり、今後も増え続けていくことは避けられない。
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近年、独居高齢者の「社会的孤立」の問題が注目され、メディアでも頻繁に取り上げられるようになった。
社会的孤立とは「家族やコミュニティとほとんど接触がない」という客観的な状態。2014年に内閣府が発表した「一人暮らし高齢者に関する意識調査」*2によれば、一人暮らしの高齢者の悩みや心配事は「頼れる人がいなく一人きりである」ことが上位であった。一人暮らしをすることで健康や病気に対する不安を訴える人が多いという結果が出ている一方で、「誰かと一緒に暮らしたいか」という質問に対しては、一人暮らしの高齢者の76.3%が『今のまま一人暮らしでよい』と回答している。
物理的に孤立していても、孤独を感じないこともあれば、家族やパートナーと一緒にいても寂しいと感じることもある。要するに「独居」=「孤独」=「不幸」ではない。
今年(2018年)1月にイギリスのメイ首相が「孤独担当大臣」のポストを新設すると発表し、衝撃を受けた。英国内で行われた調査によると人口6560万人のうち「社会的孤独」を感じている人が900万人以上いるとされ、孤独による経済的損失は年間320億ポンド(約4.9兆円)に上るという*3。