2012(平成24)年に60歳で定年退職しました。定年後は、以前からお付き合いのあったソフト開発会社の方に声をかけていただき、顧問という形で週1~2日程度、やんわりと仕事を手伝っていました。一方、自由な時間が増えたものですから近所のスポーツクラブに通い始めました。週に2日ぐらい行って、ジムで体を鍛えたり、家内に誘われて見よう見まねでダンスもやってみました。

 ところが、スポーツクラブに通っていても、どうも楽しくない。家内が頻繁に通っていましたので、ただ一緒にくっついて行くという感じでした。そうやってあまりすっきりしない気持ちでスポーツクラブに通っていたんですが、あるとき、フロントの脇に近所の飲食店のチラシと一緒に乗馬クラブ クレインのチラシが置いてあったのを見つけたんです。「インストラクター養成コース」という言葉が目に入って、すぐに手に取りました。

よみがえった「馬に乗りたい」気持ち

 実は、私は学生時代に馬に乗っていたんです。

 乗馬をしていた父親が、私が高校に入学したとき「馬術は競技人口が少ないからちょっと頑張りゃ国体に出られるぞ」とそそのかしたんです。その気になって乗ってみたら完全にはまってしまいました。以来、父親が所属していた乗馬クラブに毎日通うようになりました。クラブでは、全日本の大会に出ていた岩坪徹さんという方に指導してもらい、国体の高校生の部に出場することができました。大学でも乗馬を続け、高校・大学の7年間で2000鞍(くら)くらい乗ったのではないかと思います(編集部注:「鞍」は乗馬回数の単位)。

大学生時代の吉岡さん