前回の記事(「自主的な取り組みが“義務”に? 改革に焦る文科省」)では、文科省の高等教育政策が、ディプロマ(学位授与)、カリキュラム(教育課程編成・実施)、アドミッション(入学者受入れ)に関する「三つのポリシー」の運用を通じて、各大学に大学教育改革の推進を迫るようになった経緯までを指摘した。
今回は、どのようなカラクリを通じて、三つのポリシーの運用が大学教育改革を促すツールとして機能するのかについて論じたい。
認証評価を通じたミニマムなコントロール
まずは、認証評価を通じて、三つのポリシーが点検されるという点がある。
認証評価制度とは、大学教育の質保証についての文科省の方針が、設置審査などの「事前規制」から「事後評価」へと転換したことを受けて、2004年からスタートした制度である。法律によって、各大学は7年に一度、文部科学大臣が認証する評価機関から評価を受けることを義務づけられている。
評価の結果、仮に「不適合」の判定を受けた場合には、大学として存続ができなくなる。また、「改善勧告」や「努力課題」の指摘を受けた場合には、大学側は速やかに改善のための対応をし、その結果を報告することも求められる。
認証評価は、大学としての最低限の基準を満たしていることを認証することに目的があるので、たとえ文科省がどのような政策意図をチラつかせようとも、受審の際にとてつもなく踏み込んだ指摘を受けるといった事態は起こらない。しかし、認証評価システムは、7年に一度更新されることになっているので、「最低基準」そのものを引き上げていくことは可能である。