デジタルトランスフォーメーションの潮流が勢いを増しつつある。テクノロジーを巧みに活用して革新的な製品やサービスを生み出す「ディスラプター」が一気に台頭し、ビジネスの主役に躍り出る。そうした例は、もはや珍しくない。

 新たな変革期の主導権を握り、競争を勝ち抜くため、あらゆる産業でイノベーションの必要性が求められている。そうした中、オープンイノベーションラボやハッカソンなど、多様なアイデアやスキルを持った人たちが集まる「場」づくりが、国内で目立つようになってきた。

 だが、場を用意しただけでは、イノベーションは起きない。肝心なのは、やはり人材である。人々が集まる場に、イノベーションをリードする人材という「魂」が加わることで初めて、革新的な製品やサービスの芽が出る。そして成長し、花開く可能性が大きくなる。

 魂となる人材を、いかにして育てるか。これこそ、デジタルトランスフォーメーション時代に突入した産業界が抱える喫緊の課題の一つといえる。

 そこで本連載では、早稲田大学のアントレプレナーシップ(起業家精神)教育プログラム「WASEDA-EDGE人材育成プログラム」の成果を踏まえながら、イノベーションの担い手育成の勘所を探っていく。WASEDA-EDGEの最大の目的は、グローバル展開可能な新規事業を創出する人材の育成である。組織マネジメントやリーダーシップなど起業家に求められる基礎能力や、鋭利な発想と体系的な方法論を駆使しながら新たな市場を切り開いていくイノベーションの地力を鍛える。