日本の地域医療が崩壊の瀬戸際にある。きっかけは、今春から始まる新専門医制度だ。
昨年12月15日、日本専門医機構は4月から始まる新専門医制度の1次募集の結果を公開した。この時応募したのは7791人の医師だ。
この制度は、主に初期研修を終える3年目の医師が対象となる。2016年の医師国家試験に合格したのは8630人だから、約9割の医師の進路が決まったことになる。
地域偏在の是正どころか拡大
研究職や行政職に進む一部の医師を除きほぼ全員が、この制度に沿ったカリキュラムに従い研修する。
日本専門医機構が公開した結果を仙台厚生病院の遠藤希之医師と齋藤宏章医師が分析した。
当初、日本専門医機構は専門研修の充実に加え、診療科と地域偏在を是正することを目標に掲げていた。ところが、結果は正反対だった。
遠藤医師らは、2012~2014年の間に後期研修医を始めた医師数と、今回、内定した医師数を比較した。
まずは診療科の比較だ。図1をご覧いただきたい。内科が激減し(123人減少)、麻酔科(93人増)、眼科(82人増)、精神科(64人増)などのマイナー科が増加していることがお分かりいただけるだろう。