米がん患者の死亡率は1991年がピーク、四半世紀で25%減少

米ニューヨークで、乳がん検診の促進キャンペーンのためにピンクリボンの形に並んだ女性たち。(c)AFP/Jewel Samad〔AFPBB News

 臨床研究不正が止まらない。『選択』8月号に掲載された「『カネまみれ』医学界との癒着はつづく中外製薬が抗がん剤で『研究不正』」という記事を読んで暗澹たる気持ちとなった。

 この記事が取り上げたのは、6月1日に戸井雅和・京都大学教授(乳腺外科)を中心とした日韓の多施設共同研究グループが、世界最高峰の医学誌である「New England Journal of Medicine (NEJM)」に発表した論文だ。

 HER-2陰性のハイリスクの乳がん患者を対象に、カペシタビン(中外製薬、商品名ゼローダ)のアジュバント(薬物の作用を増強する目的で併用される物質・成分の総称)としての有効性を評価した。結果は衝撃的だった。

衝撃的な論文に資金疑惑

 2015年3月に行われた中間解析で、カペシタビン群の予後が良好なため、試験は早期打ち切りとなった。カペシタビンは乳がんのアジュバントとして注目されてきた。

 ただ、多くの臨床試験では有効性を示せなかった。だからこそNEJMも注目してこの論文を掲載した。

 ところが、この論文に資金に関する疑惑が持ち上がった。

 論文によれば、一般社団法人JBCRGと特定非営利活動法人先端医療研究支援機構(ACRO)によって助成されたことになっている。論文の記載は以下の通りだ。

“Funded by the Advanced Clinical Research Organization and the Japan Breast Cancer Research Group”

 論文の「方法」のところには、「JBCRGは研究に関わっていない」と明記されている。論文での記載は以下の通りだ。

“The funders and sponsors had no role in the trial design, data collection and analysis, or the interpretation of the results”