ドイツ、ミュンヘン工科大学で国際会議に出ています。「インダストリー4.0」政策の先端的な戦略イノベーションの話が本題ですが、今回はそこで取り上げられた、より即効力のあるトピックスをご提供しましょう。
「ネット右翼撃退法」です。
ネット右翼化は下手をすると全世界の民主主義社会を長期にわたって損ねる可能性のある病という認識で、とりわけ日本とドイツ、20世紀後半の高度成長を支えた両国は手を携えてこの問題に取り組んでいきましょう、と合意した内容のエッセンスを、今回はご紹介しましょう。
インターネット民主主義の幻想
いま30歳以上の方なら、20世紀最末年の2000年、あるいは21世紀の始まった2001年頃、16年ほど前のことを記憶していると思います。
逆に言えば、20代半ばより若い世代は、この頃の記憶がない。そこでの生活の変化や、これからこんな社会になる、といった「過去の未来像」も知らなくて当然です。
1995年頃に始まったインターネットの民生公開、いわゆる「IT革命」の頃には、すべての人がすべての人に対して情報を発信し、また受信することができる夢の社会がやって来る的な話が喧伝されていました。
それが一段落した2000年頃には、今度はインターネットで音声動画を自由に見ることができる、見るだけではなく発信することもすぐできるようになるというブロードバンド化が、やはりばら色の未来として喧伝されたものです。
果たして、ブロードバンドが定着し始めた2001年、世界を最も席捲したのは、9月11日に米国で発生した同時多発テロ、世界貿易センタービルに突っ込んで行く旅客機と、超高層ビル崩落の映像でした。
その後「第2次湾岸戦争」を皮切りに「イスラム原理主義、テロリストとの戦い」というシナリオが現在に至るまで全面展開され続けています。
この時期、大学で私に「必修情報処理」を学んだ学生諸君は、10年後はこのようになる、としてデジタルビデオカメラで相互に日本語英語のパワーポイント・プレゼンテーションを撮影、講評し合う課題を実習したのを覚えているでしょう。
実際この時期以降、ユーチューブをはじめ、音声動画コンテンツが内外で発信されるようになります。