プーチン氏の米大統領選介入否定「信じる」 トランプ氏

ベトナム中部ダナンで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席した際に言葉を交わすドナルド・トランプ米大統領(左)とウラジーミル・プーチン・ロシア大統領(2017年11月11日撮影)。(c)AFP/SPUTNIK/Mikhail KLIMENTYEV〔AFPBB News

くすぶり続けるINF問題

 以前の拙稿では、ロシアのINF(中距離核戦力)全廃条約違反問題について取り上げたが(「トランプ政権に踏み絵を迫るロシア」)、この問題が再び大きな注目を集め始めた。

 欧州全域には届くが米本土には届かないソ連のミサイルが欧州に大量配備されたことにより、欧州での限定核戦争に現実味が出てきたのではないか・・・。

 このような懸念から、米ソが互いの本土を狙う戦略核戦力(射程5500キロ以上)と、戦場で使用される戦術核戦力(射程500キロ未満)以外の中距離核戦力(戦域核戦力)は全廃してしまおうというのがINF条約の趣旨であった。

 ただし、対象となるのは地上発射型の巡航ミサイルと弾道ミサイルであり、艦艇や航空機から発射される巡航ミサイルは規制を受けない。

 また、INF条約では既存のミサイルを全廃するだけでなく、該当するカテゴリーのミサイルの配備を今後も無期限に禁止している。ミサイル自体の生産はもちろん、その発射装置を製造したり、発射試験を行うことも認められない。

 ところがロシアは近年、この条約に反して、米国が「SS-C-8」と呼ぶ地上発射型巡航ミサイル(GLCM)を開発してきたと見られている。

 SS-C-8は「イスカンデル-M戦術ミサイル・システム」に似た移動式発射機から発射されるGLCMであり、その射程は1000キロから数千キロに及ぶと見られる。したがって、その生産や発射試験は明らかな条約違反だ。

 それどころか、今年2月にはついにSS-C-8 GLCMが実戦配備されたのではないかという報道(『ニューヨーク・タイムズ』2月14日付)まで登場し、ロシアの条約違反問題はいよいよ深刻になってきた。

 だが、ロシア政府はこのような疑惑を一切認めておらず、それどころか条約に違反しているのは米国であると主張し(例えば欧州に配備されたミサイル防衛システムからは巡航ミサイルも発射できるではないか、など)、双方の主張は全く噛み合っていない。