ロスが大きく、送電できる距離に限界がある上、多くの家庭に接続しているため、電圧が安定しないのだ。実際、230ボルトの電源が各家庭に送られる間に100ボルト前後まで下がることも珍しくない。

 このため、同じ電力を得るために電流が大きくなって機器が過熱することが懸念される。日本の機材は電圧が規定の8割を下回ると電源がカットされるように設計されているが、それもこうした理由による。

 さらに、電線を引く際は、私有地をまたぐと土地収用が必要になり工期が延びるため、できるだけ公道の上に通すなどの工夫も必要だ。「場所によっては駅から数キロ離れた場所から送電線を引かなければならないところもあります」と徳廣さんは話す。

日本の技術に学ぶ

 踏切と聞くと、どんな場面を思い浮かべるだろう。誰しも一度は、朝、急いでいる時になかなか上がらない遮断機に苛立ったことがあるのではないか。

 普段の暮らしではあまり歓迎されない踏切だが、列車が一定距離まで近づけば自動で遮断機が下り、車両や人が線路内に進入することを防ぐこのシステムには、道路と線路の交差点の安全を守る高度な技術が結集されている。

 この日、踏切を回る4人を眺めながら、2年前に秋田で見た場面を思い出した。

線路の上で魚を売る女性(マンダレー駅付近で2015年11月撮影)