「中国による米国の知的財産の侵害は毎年、米側に数百万人の雇用と数百億ドルもの資金の損失をもたらしている」
「これまであまりにも長い年月、米国政府はなんの対策もとらなかった。そのために、米国の知的財産という貴重な資産が不正な方法で中国などへ流出する結果となってしまった。もはやこんな状況を黙視することはできない」
米国が知的所有権に関して中国に抱いている不満は大きく2つある。第1に、中国の官民が米国製品の特許や商標、デザインを盗用していることである。第2には、米国のハイテク企業が中国に進出する際、中国政府に必ず中国側企業との合弁を義務づけられ、秘密情報を収奪されることだった。いずれも中国の行いは、中国が加盟する世界貿易機関(WTO)の規則に違反する。
米国側によると、海賊版ソフトウエア、偽造品、模造品の製造、企業秘密の盗用などによって、米国企業全体で年間6000億ドルもの損害を受けており、そのほとんどが中国の仕業だという。
街を挙げて偽物を製造
中国による米国の知的所有権の侵害の歴史は古い。米国議会の対中政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は2005年の年次報告書で以下のような調査結果を公表していた。
・中国で流通する著作権を有する業界の製品の90%以上は海賊版で、全世界の偽造品の70%ほどが中国製である。