確実に新たな時代に入った米中の対立
米国の企業も、中国でのこうした偽造や模造の被害を受けてきた。トランプ政権はついにここに至って根本的な調査と是正に乗り出したというわけだ。
トランプ政権が対中姿勢をこれほど厳しくした背景には、前述のように北朝鮮問題が複雑に機能している。中国が北朝鮮への思い切った経済制裁措置をとらないことにトランプ大統領は業を煮やし、7月初めごろから中国への非難や要求を強めるようになった。今回の知的所有権での本格調査の命令も、その流れに沿っているといえる。
8月18日に大統領首席戦略官の地位を追われたトランプ大統領の元側近、スティ―ブ・バノン氏も、つい数日前の米国メディアとのインタビューで、現在のトランプ政権にとって最も重要な案件の1つは「中国の不公正な貿易慣行の是正」だと強調していた。
実際にトランプ大統領の中国に対する批判や糾弾の声は、日に日に険しくなっている。貿易面での中国攻撃はまだまだ鋭くなりそうである。米中関係は確実に新たな対立の時代を迎えたともいえそうだ。