その場合、管理職と部署担当者の考える優先度が異なることが極めて多い。「何が正解」ということではなく、会議を通じてこの差異を埋めていくことで、組織的優先度を決める、あるいは管理職の意識向上や優先度指示といった具体的行動を促進するのだ。

 また、この会議を通じて、【3】の「管理職の負荷オーバー」という課題にも取り組んでいただきたい。例えば、何もかも管理職が抱え込むスタイルから、一般担当者に割り振れる仕事を探したり、次世代リーダーにあえて管理職の仕事を委嘱することを試みるのも可能だ。

 現在の職場は10年前、20年前のそれとは大きく異なる。仕事の特性の違いに加え、そこで働く従業員の働き方意識も様々だ。そこには男性・女性がおり、雇用形態の違い、ライフステージの違い、経験やスキルの違いなど、実に多様である。その場で仕事の管理職の成功体験が活かされるとは限らない。抱え込まず、できるだけ「任せる」「考えさせる」ことを進める行為が管理職には求められる。

 働き方改革の要諦は、中間管理職の「意識改革」を組織的に図り、“場(例えば改善のための会議)”を通じて管理職の意識改革とスキルアップを実践させること、このようにまとめたい。“場”の定例化は、マネジメント・PDCAを回すエンジンとなり、またそこに所属する従業員自らのチェック・アクションを促進するアクセルともなり得るのだ。