いずれにしても、日本式のオフィスは早急に見直さなければならない。
理想はやはりパーテーションなどで個人の空間を確保することである。それが無理なら、机の向きを180度変えて、みんなが壁や窓に向かって座るようにすればよい。そして部屋の真ん中にテーブルを置いておけば、必要なときにミーティングも行える。このようなオフィスを中小企業で試してもらったところ、最初は「窓際族」のようで少し抵抗があったものの、慣れると仕事に集中でき、評判がよかったそうである。
また、どうしても大部屋で仕切りのないオフィスにこだわるなら、個人の座席を決めないフリーアドレス制も選択肢の1つである。しかし、だれの隣に座るかで気を遣うといった問題もあり、期待したほど普及していないのが現状のようだ。
私はむしろ小中学校のような「席替え」を提案したい。毎日、あるいは週単位で席をローテーションさせれば人間関係が濃密になりすぎるのが防げるし、いろいろな人と接することで新しい情報や刺激も得られる。
オフィスの「分化」と仕事の「分化」は並行して進めることが望ましい。しかし仕事の「分化」、すなわち個人の分担と責任範囲が明確になるのを待っていたら、オフィスの改革はなかなか進まない。まずオフィス改革を先行させ、不都合があれば仕事の分担や慣行、マネジメントの方法などを見直すようにしたほうが戦略的に有効だろう。