平野さんはオーナーたちにたいそう喜ばれ、翌2016年1月には2度目のイベントも開催された。
そんなビエンチャンの経験に比べれば、今回のイベントが行われた2本の通りは、店舗や住居も密集しておらず、大きな反対はなかったという。
期せずして冒頭のフランスのアートフェスティバル直後の開催となったことについては、「いい意味で日仏の違いが現れた」と感じている平野さん。
「フランスのフェスティバルは、大規模かつ華やかで話題を呼ぶものだったが、コスト的にも技術的にも、ミャンマー側が類似のイベントを自分たちで開くことはできないものだった」
「われわれは、彼らが今後、自分たちで定期的に再現し、街づくりに生かしていけるものを意識していた」と振り返る。
ヤンゴン管区のピョーミンテイン首相もこうした日本側の意図を理解し、開会のあいさつでは「このようなイベントを今後も定期的にわれわれで企画したい」と力強く発言。「ヤンゴンの魅力を改めて感じ、共に新しいヤンゴンをつくっていこう」と呼び掛けた。
ヤンゴン丸の内ストリート計画!
街づくりに地元の人々を巻き込むための仕掛けづくりは続く。
歩行者天国の開催から3カ月後の3月中旬、フォローアップのワークショップがヤンゴン市庁舎で開かれた。
在りし日のヤンゴンの街角の写真が大きなネガフィルムのように壁中に飾られた部屋に集まったのは、ダウンタウンでビジネスを営む事業家や商業施設の管理者、観光を学ぶ学生、住民、市の職員ら約40人。
一同は、観光省やホテル学校で長く勤務していたオウンチョー氏が「訪れる人々や住む人にとって望ましい街とは」について講演するのを聞いた後、グループに分かれ、この地区の将来像について議論した。