仕事の改善・働き方見直しのために見える化する対象は、主に、(1)「仕事の種類・それらの量」、(2)「分担の状態・必要スキル」、(3)「仕事の進め方・発生タイミング」などがあげられる。

 まず、(1)「仕事の種類・それらの量」の見える化によって、何の仕事に時間がかかっているか? なぜ時間がかかっているのか? 減らすことでどの程度時短を図ることが可能になるのか? などが初めて見えてくる。これらの仕事は日々の業務だけではなく、会議や電話といった共通に発生する仕事、突発的に発生する対応事項も含まれる。

 次に(2)「分担の状態・必要スキル」からは、人の仕事量のバラツキの是正余地はないか、再び分担し直すにはどのようなスキルが必要なのかを考えていく。部門の勤怠データの労働時間のバラツキから想定しても良いであろう。

 最後に、(3)「仕事の進め方・発生タイミング」から、朝早く、あるいは夜発生することで残業・長時間労働につながる仕事と原因を特定する。他の時間帯や別な担当者への分散化ややり方の置き換えができないかを考えていく。

【3】 認識した業務上の問題を解決する

「見える化」を図ると、組織として何に取り組んだら良いか、問題解決の対象と方向性も見えてくる。ただし、問題も、即解決できそうなものもあれば、時間がかかるものまで様々だ。

 改善には、それなりの活動時間が必要だ。そこで、すぐに着手しやすいもの、かつ成果が出そうなものを中心に、優先度をつけ、段階的に解決を図ることが重要だ(図2)。

 解決の方向性は、“見える化”によって認識した問題の裏返しとなる。

(1)仕事の量を徹底的に減らす

 仕事の目的に照らして必要のないもの、減らしても成果に直接関係しない仕事を対象に、「止める・半減する」といった着眼でやり方を見直していく。

 オフィスワークだったら、帳票や会議といった情報共有の場、伝達手段、ツールを見直す、やり方を改めることが効果的だ。組織的に目的・必要性を明確にし、目的から考えて効果があがらないものは止めてしまう。営業など外向きの仕事の場合は、売上など出来高に直接関わるため、効果の高い顧客とそうではない顧客の判別と優先度に従った戦略的活動が求められる。