ブームが来るたびに「かき氷」は進化する

食感とともに見た目でも味わう夏の風物詩

2017.06.09(Fri)佐藤 成美

 かき氷の魅力は、おいしさに加え、氷の涼し気な美しさにもある。明治時代には「氷コップ」というかき氷専用の器が生まれた。小ぶりで着色したり、水玉などの模様をつけたりした足つきのガラスの器だ。昭和初期にはレース模様などを型押しした氷コップが量産された。業務用のかき氷機にある富士山や松などの装飾、氷の旗にある波に千鳥のモチーフもしゃれている。日本人独自の美意識で氷を楽しんでいたことがわかる。

「氷コップ」の数々。色や模様もさまざま。

呼び名を「フラッペ」に変え、再び人気に

 かき氷は駄菓子屋で気軽に味わえるようになり、すっかり庶民の夏の味になった。しかし、アイスクリームの普及によりその人気に陰りが見えてきた。1950年代にはカップ入りのアイスクリームやコーンアイスが販売されると、アイスクリームが身近になった。さらにフリーザー付きの冷蔵庫が普及するとアイスクリームの販売量も増加し、いつしか駄菓子屋の店先からかき氷は消えた。

 だが、1970年代になるとかき氷は「フラッペ」と名前を変えて、喫茶店やレストランに登場した。これは、人気の低迷を危惧したかき氷機メーカーが新しいかき氷メニューを開発して、レストラン業界にピーアールしたことによる。フラッペはかき氷にアイスクリームや果物をトッピングしたもの。もともとは砕いた氷にリキュールを注いだものだったが、かき氷として扱われるようになった。これが全国に広がり、再びかき氷の人気が高まったのだ。

 また、時を前後して、カップ入りのかき氷や家庭用のかき氷機も広まり、かき氷は家庭でも手軽に楽しむことができるようになった。

 近頃、フラッペはかき氷状のドリンクに姿を変えて、コンビニエンスストアやスターバックスに登場している。若い人ならこちらを思い浮かべるかもしれない。スターバックスの「フラペチーノ」は、フラッペとカプチーノからきた造語という。

近年「ひんやりスイーツ」としてブーム再燃

 こうしてかき氷は、夏の定番として不動の地位を築いたのだが、ここ数年、また新たに「ひんやりスイーツ」の一角をなすものとしてブームをもたらしている。女優の蒼井優さんの著書『今日もかき氷』(2011年、マガジンハウス刊)が火付け役だという説もあるが、単純にここ数年の猛暑によるものかもしれない。

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