ミルクと調和させるなど、独自の発展を遂げてきたオーストラリアのコーヒー。シドニーのカフェにて。(筆者撮影、以下同)

 大型連休を海外で過ごした人も多かったことだろう。現地で見慣れない食べ物や食文化に触れるのも、旅の楽しみのひとつだ。オーストラリアでは、日本を含め世界中で人気を得られそうな独自のコーヒー文化が発展しているのを知った。

根付かなかったスターバックス

 観光地としても人気のあるオーストラリア。日本人観光客は増えており、2016年は40万人以上が訪れたという。筆者もこの春、オーストラリア最大の都市シドニーを訪れたところ、街の中でやたらとカフェが目についたのだ。

 オフィス街や大型商業施設、博物館などいろいろなところにカフェがあり、コーヒーを片手に歩く人々もたくさん見かけた。レストランのようなカフェやこじんまりしたアンティークなカフェなど、どの店も個性的。外にテーブル席を設けている店も多い。チェーン店のような画一的な造りの店はほとんど見かけなかった。

 日本では、都心のいたるところに「スターバックス」を見かけるが、シドニーで見かけたのは1店舗くらいだった。スターバックスは、2000年にオーストラリアに出店したが、ここでは根付かず、多くの店舗は閉鎖に追い込まれたという。

 オーストラリアは、さまざまな国から移り住んだ人々で成り立つ多民族、多文化国家だ。英国の植民地だったことから、同国の影響が強く、かつては紅茶がよく飲まれていた。その後、英国やギリシャ、フランス、トルコなど欧州各国から移り住んだ人々の影響を受けてコーヒーが普及した。コーヒーの消費量は年々増えつづけ、2012年には紅茶の消費量を追い越した。

 20年ほど前からカフェが次々と現れ、独自にコーヒーの様式ができあがった。オーストラリアの人々には、スターバックスのコーヒーは好まれなかったようだ。