竹鶴政孝の信念生きる新作プレミアムジン・ウォッカ

カフェ蒸溜液が原料の香りと味わいの個性を引き出す

2017.05.31(Wed)稲毛 倫子

カフェスチルが生み出す個性あふれる豊かな香り

 カフェジン、カフェウオッカを生み出すカフェ式連続式蒸溜機カフェスチルとはいかなるものなのか。その歴史は半世紀以上前にさかのぼる。

現在も稼働するカフェ連続式蒸溜機。清溜塔ともろみ塔からなる角型の2搭式

 カフェ式連続式蒸溜機は、1830年頃アイルランドのイーニアス・カフェが発明した2塔からなる蒸溜機だ。実用的な連続式蒸溜機としてはかなり旧式となる。

 開発者の名前にちなんで「カフェスチル」とも呼ばれるこの蒸溜機の登場で、グレーンウイスキーの大量生産が可能になり、ブレンデッドウイスキーづくりが一気に盛んとなった。

 その後19世紀末には3塔式、1950~60年代には、6塔式・8塔式が開発される。現在主流となっている連続式蒸溜機は、精度の高いアルコールが作られるようになった反面、ほとんどの香味成分を除去してしまう。

 一方、カフェ式は旧式であるがゆえに、蒸溜効率が決して良いとはいえず、操作にも熟練した技が必要とされる。その反面、蒸溜液には原料由来の香りや味わいがしっかりと残る特徴がある。

 ニッカウヰスキーが所有するカフェスチルは、竹鶴政孝氏の日本で本格的なウイスキーを作りたいという思いから自らグラスゴーに出向いて導入を決めたもの。

 当時よりカフェスチルは「きわめて旧式」と言われていたが、竹鶴政孝氏は、旧式でなければ、自分の理想とする美味しいグレーンウイスキーはできないと強いこだわりを持ち続けていた。

「グレーンウイスキーを使うようにならなきゃ、日本のウイスキーも一人前とは言えません。そのためには、純度の高いアルコールのできる改良型ではなく、穀類の不純物を残す旧型のカフェ式蒸溜機が必要である」
――竹鶴政孝著『ウイスキーと私』より

 導入されたカフェスチルは、1964年に西宮工場で本格操業したのち、1999年には宮城峡蒸溜所に移転したのを経て、竹鶴氏の理想の元、現在も稼働し続けている。

ニッカウヰスキー仙台工場・宮城峡蒸溜所

 このカフェスチルで製造されていて、現在”カフェ”シリーズとして発売されている商品が「カフェグレーン」と「カフェモルト」だ。いずれも豊かな香味が世界で高く評価されており、直近でも世界的な品評会、インターナショナルスピリッツチャレンジ2017でカフェモルトが金賞を受賞している。

 これらに続き新たに誕生するのが、カフェジンとカフェウオッカである。カフェスチルが生み出す個性あふれる豊かな香りの蒸溜液を十分に活かし、ニッカの卓越したブランド技術とスピリッツでつちかった知見、さらにアサヒビールが有するアルコール全般に関する幅広い技術が加わって生まれたものだ。独特の深みのある味わいを実現したきわめて革新的なスピリッツといえよう。

 

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