なぜ大学教員は増え続けるのか。

 筆者が学生の頃、大学の教員と言えば、それはまあ「ザ・大学教授」みたいな人ばかりで、アカデミックなバックボーンがしっかりしているのは当然として、社会的にも知名度の高い教員や、論壇誌にしばしば登場する論客の教員なども少なくなかった。しかし、こうした古典的な「大学教員」像は、今やすっかりノスタルジーの世界に後退してしまった感がある。

これまで寄稿してきた記事では、この20年あまりの間に日本の大学が、大衆化の波をかぶりつつ多様化し、その姿を大きく変容させてきたことを述べた。当然、大学の大衆化や多様化は、そこに職を得て働いている大学教員の姿をも変容させてきたはずである。今回は、このあたりのことを書いてみたい。

大学教員はどれだけいるのか?

 まずは、基本的な事実から確認しておこう。文部科学省の「平成28年度学校基本調査」によれば、この年の大学数は、国・公・私立大学をあわせて777校あり、本務教員数は、18万4248人(国立6万4771人、公立1万3294人、私立10万6483人)にのぼっている。実は、この数値は、前年度と比較すると、1525人増である(――このご時世にもかかわらず)。

 ここには、兼務者は含まれておらず、あくまで本務者のみの数であるが、この数は、多いのか、少ないのか。人によって感じ方は異なるかもしれないが、まずはグラフをご覧いただきたい。先の「学校基本調査」の各年度版をもとにして、1950(昭和25)年から2016(平成28)年に至るまでの学校種ごとの本務教員数の推移を示したものである。

本務教員数の推移。特別支援学校の2006年度以前は、盲学校、聾学校、養護学校の合計。
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 一瞥して分かるように、小・中・高校の教員数は、児童・生徒数の増減に比例する形で増減し、現在は減少期に入っていると言える。