その仕事をカフェでするのは間違っている!

「カフェでの作業ははかどるか」の心理学(前篇)

2017.04.14(Fri)漆原 次郎

――何をもって「単純か複雑か」や「慣れているかどうか」は決まるのでしょうか?

請園 自分が「この作業は単純だ」「この作業には慣れている」と意識しているかどうかは1つの軸でしょう。パソコンのタイピングを人差し指1本しか使わないのに、とても早く作業している人もいますよね。本人としては、それは「慣れている」ことになります。

文章量は促進される、ただし質は劣る

――その作業が単純であるか、また慣れているかどうかだけで、カフェでの作業がはかどるかどうかは決まるのでしょうか?

請園 そうとはいえません。たとえば、複雑で十分思考する作業であっても、「文章を書く」という課題であれば、カフェのような人がいる状況でも文字量などは促進されます。

 これまでの研究では、被験者にレポートを書かせるような課題を与えて、社会的促進あるいは社会的抑制がどう現れるかを見たものがあります。結果、1人で行うより、人がいる中で行うほうが文字量は有意差があるくらいに増えたのです。ですので「量」については、周りに人がいるカフェのような空間でははかどることになります。

 けれども、「質」という点では、逆に抑制がかかってしまいます。おなじ実験で、1人で書かせたときと、人がいる中で書かせたときで、どちらの文章のほうが読みやすかったり理論的だったりするかを、3人以上に評価してもらったところ、人がいる中で書かせた文章のほうは、流れが単調だったり理論が稚拙だったりといった評価となりました。

――「質より量」を求めるときにはカフェでの作業は向いていて、「量より質」を求めるときは他に人がいないような状況での作業が向いているということになるでしょうか?

請園 そういえます。たとえば、これから文書や企画などの内容を考えていくといった段階では、1人でいる状況のほうがよいでしょう。

 でも、内容の骨子が決まっていて、あとは細かい部分を埋めていくというときには、カフェなどのように誰かがいるところで取り組むほうが、量は稼げると期待できます。

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