【AFP記者コラム】この国に生まれた悲運、南スーダンの絶望

この国に生まれた悲運、南スーダンの絶望(c)AFP/Albert Gonzalez Farran〔AFPBB News

 安倍晋三首相は、3月12日、南スーダン国連平和維持活動(UNMISS)に従事している陸上自衛隊の撤収を決断し、その旨を発表した。

 積極的平和主義を掲げる安倍首相にとって、今回の決定は苦渋の決断であったと思うが、英断だと高く評価したい。現地で活動する自衛隊員とその家族も安倍首相の決断に感謝していると思う。

 日本の一部の野党やマスメディアは、安倍首相の英断に奇襲を受けたのであろう、「なぜ、今なのか。撤収の理由は何か」などと愚かな質問を発している。しかし、撤収のチャンスは情勢が小康状態にある今しかないのだ。

 南スーダンの情勢は今後さらに悪化する可能性(飢餓の発生に伴う情勢の悪化など)がある。情勢が混沌として抜き差しならない状況での撤収は困難である。

 自衛隊が撤収することに対して批判する国々は出てくるであろうし、現地の自衛隊員に対しあからさまに「卑怯者」とののしる者も出てくるだろう。過去においても、UNDOF(国連兵力引き離し監視軍)からの撤退の時もそうであった。

 一方、国連のハク副報道官や南スーダンのマヤルディ大統領が「日本が南スーダンでしてくれたことに感謝したい」と述べたように、自衛隊は5年の長きにわたり立派に活動してきたと思う。

 実際の撤収は現在活動している部隊の交代時期の5月末になるが、粛々と撤収準備を行い全員無事の帰国を祈念したい。

 本稿においては、安倍首相の撤収決断までの国会での議論などの経緯を振り返り、我が国が抱える安全保障上の諸問題や国際平和協力活動をめぐる諸問題を指摘し、それら諸問題に対する解決策を考えてみたい。

 結論的に言えば、それら諸問題の根本原因は憲法第9条の問題であり、憲法改正が喫緊の課題であることを指摘したい。

撤収のタイミングとして今が最適である

 PKOに参加する自衛隊の撤収を判断するには、以下のようないくつかの要素を検討しなければいけないが、私は安倍首相の撤収決断のタイミングは適切であったと評価する。

 安倍首相に反対する党やマスメディアは、「治安の悪化でないなら、なぜこのタイミングか。」と批判しているが、これは自衛隊の撤収作戦を全く知らない者の批判である。治安が小康状態だからこそ撤収するのだ。

自衛隊の撤収作戦が難しいか容易か
主として現地の治安状況が大きな要素

 自衛隊にとって、治安が悪い状況下における撤収作戦は難しい作戦となる。情勢が小康状態の今こそ撤収のチャンスなのだ。

 撤収作戦は襲撃される可能性のある難しい作戦であることを理解してもらいたい。まず撤収の準備を自衛隊の宿営地を中心として実施しなければいけない。撤収準備間に襲撃される可能性があるので警戒を厳重に行いながら、同時並行的に撤収準備をしなければいけない。

 撤収の際には徐々に部隊がいなくなるので、残される部隊が攻撃される可能性は徐々に増してきて、最後に撤収する部隊が最も狙われやすいので特段の注意が必要になる。