安倍首相は戦後70年談話で、「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の8割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」と語った。この談話のように、慰安婦問題もどこかで決着を付けなければならないからだ。
北朝鮮の蛮行に日米韓で対応するためにも
日韓合意は、日米韓が対北朝鮮政策を進めるうえでも有効なものだった。
北朝鮮の金正恩政権は、国連決議違反の核実験やミサイル発射実験を繰り返している。そればかりか最近では、マレーシアで金正男氏の暗殺事件を起こした。北朝鮮側がなんと弁明しようと、この犯罪が北朝鮮によるものであることは、客観的に見て明白と言わなければならない。
犯行にはVXガスが使用されたとマレーシアの警察当局は発表しているが、北朝鮮では多くの生物化学兵器の実験・開発も行われているという。ミサイルは、日本列島が射程に入っている。これは韓国も同様である。
日韓合意には当時のオバマ大統領も歓迎する意向を表明したが、これを実のあるものにしていかなければならない。日米間が北朝鮮の蛮行に有効に対応していくためにも、日韓合意の後戻りをさせてはならないのである。
韓国における日本報道への自己批判
産経新聞(1月21日付)によると、韓国紙では、これまでの日本報道への自己批判的な論評が掲載されるようになっているそうだ。以下はその抜粋である。
東亜日報(1月16日付)は、沈揆先(シムギュソン)論説顧問による「慰安婦のおばあさんたち34人の選択はニュースにならないのか」というタイトルの論説を掲載した。沈氏はその論説で、「他国の公館の前に建てるのは国際条約上、問題だという点もはっきり指摘しなければならない」と記していた。
実は沈氏は、慰安婦問題解決の日韓合意による10億円支援で設立された「和解・癒やし財団」の理事の1人でもある。その仕事を引き受けたのは「不可能な最善より可能な次善を支持したから」だという。その結果、対象の元慰安婦46人(生存者39人)のうち70%以上にあたる34人が支援金の受け取りを表明したが、その“事実”を韓国マスコミが伝えないと批判している。