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【第3回】

 今、日本の「教育」が行き詰まっている。日本の高度成長を支えた、「正解」をいかに早く覚え、再現するかという従来の教育は、「答えのない時代」を迎えた今、うまくいかなくなった。日本の国際競争力を高める人材を育成する上で、障害となっているものは何か。21世紀の教育が目指すべき方向は何か。

 本連載では、世界からトップクラスの人材が集まる米国、職業訓練を重視したドイツ、フィンランドの「考える教育」など、特色ある教育制度を取り入れている先進国の最新動向から、日本の教育改革の方向性を導き出す。

(前回の記事「日本人の野心を奪った『偏差値』と『大学教育』」はこちらhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48192

テーラーメイドの教育で潜在能力を伸ばす

 日本人の能力が世界の人材と比べて劣っているかと言うと、そんなことはありません。

 図-3の左側を見てください。現代の日本にも、世界で活躍する人はたくさんいます。スポーツ選手、音楽家、建築家、芸術家、クリエイター、登山家など、日本人が数多く活躍しています。この人たちには共通項があります。


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 1つは、文科省のカリキュラムの外で育っていること。もう1つは、個人教授がいるのです。

 チューターやインストラクターと呼ばれる人たちから、テーラーメイドの教育・訓練を受けている。