【第2回】
今、日本の「教育」が行き詰まっている。日本の高度成長を支えた、「正解」をいかに早く覚え、再現するかという従来の教育は、「答えのない時代」を迎えた今、うまくいかなくなった。日本の国際競争力を高める人材を育成する上で、障害となっているものは何か。21世紀の教育が目指すべき方向は何か。
本連載では、世界からトップクラスの人材が集まる米国、職業訓練を重視したドイツ、フィンランドの「考える教育」など、特色ある教育制度を取り入れている先進国の最新動向から、日本の教育改革の方向性を導き出す。
(前回の記事「日本に"答えのない教育"が必要な2つの理由」はこちら)
平均的な人材より、抜きん出た個人を育てる
図-1を見ていただきたい。日本の教育の限界と今後の方向性について、分かりやすく図示したものです。
前述のように、従来の工業化社会・加工貿易立国モデルは完全に行き詰まっています。21世紀、答えのない時代の教育は、突出した能力を持つ個人の育成を目標にしなければならない。「米国、欧州、世界中どこを探しても、あんなすごいやつはいない」と言われるくらいの人材を、それぞれの分野で育てる必要があります。
その個人が付加価値を創り出し、1人につき10万人を食べさせていく、今はそういう時代です。平均的なレベルを上げても、物量で新興国にはかないませんから。国際競争力を発揮するために、教育の目標も大きく舵を切る必要があります。