とある地方の高校で生徒たちに、「数年後の東大入試、AIは合格できるか?」と尋ねると、大半が「受かると思う」に手を挙げたそうです。
「ではその時君たちは何をするの?」と続けて訊ねると、いろいろな答えが返ってきたとのこと。結構悲観的な答えもあったようです。
さて、東大入試ではどういう問題を出しているか、皆さんご存知ないのではないでしょうか?
今年2016年の春に出題された英語・入試問題の実物を確認してみましょう。
東大入試問題の背景
以下、実際に出題された問題そのものです。
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2(A)下の画像について、あなたが思うことを述べよ。全体で60-80語の英語で答えること。
(「下の画像」として、ネットに上がってたものを1つリンクさせていただきました)
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床に寝転がっているネコを見ながら、目の比較的近くに手指を持ってくると、遠近法的な「だまし絵」を作ることができ、指先で大きな猫をつまんでいるような面白い錯覚・錯視の写真を撮ることができます。
ネットで検索してみましたが、「東大発! 模範解答のない入試の衝撃」「東大入試がアート系に?」うんぬん。かなりピントの外れた観点でこれを取り上げているものを目にしました。
中には、問題の中味に一切触れず「訳の分からない出題に対処できる危機管理」などを説くものを目にし、少なからず驚きました。
私自身、ピアニストのヘルマン・ゴチェフスキさんなどと共に東京大学としては極めて少ないアート実技系の教官として在勤していますが、このリアクションは率直に残念に思いましたので、以下の議論を建設的なものにするべく、少しだけ常識的な前提を補っておこうと思います。
言うまでもなく、現役の東京大学教官が、現在実行している入試について言及できることは極めて限られます。ここではあくまで一般論として錯視のメカニズムだけを記すもので、問題の中味には一切触れませんので、誤解のないようにお願いします。
ネットのフリー・シルエット素材を使って、この錯視のメカニズムを簡単に図示してみましょう。
(*配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで図をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48206)