中国在住日本人、13年は前年比10%減

海上保安庁が撮影した東シナ海の尖閣諸島付近を航行する中国海警局の船舶〔AFPBB News

 中国の尖閣諸島への攻勢が強まっている。毎日のように大量の漁船や海警船を侵入させている。だが、日本政府は「断固、抗議する」と言いながら、具体的な対抗措置をとらない。海上保安庁による受け身の警備に依存しているのが実情だ。

 大手メディアはこうした「今そこにある危機」を大きく取り上げないが、「このままでは中国は本気で尖閣に上陸するのではないか。竹島を韓国に取られたのと同じことにならないか。日本政府は阻止できるのか。見通しが甘くないか」。

 国民の間にはそんな不安が広がっている。

 それでも、国民は安倍政権に期待し、その支持率は50%を超えている。こう指摘するのは、国境問題研究の第一人者である山田吉彦・東海大学教授。「今不可欠なのは、尖閣諸島に海洋環境の国際的な研究機関を設置し、日本の領土であることを世界に知らしめることだ」という。

 同時に、尖閣上陸をめざす中国軍に対抗するには「海保内に海上自衛隊の艦船とともに自衛隊員を出向させ、質量ともに中国に対抗できる力を持たせることだ」と逆転の発想を説く。山田氏に「尖閣諸島で中国を撃退する戦略」を聞いた。

竹島と同じになりかねない

井本 日本政府は中国の尖閣領域侵入について口では抗議するが、阻止するため具体的に行動しない。

 「日本は手出ししない」と中国は見て、ずるずると入り込み、気が付いたときは尖閣諸島に上陸してしまうのではないか。結果として竹島と似てくる。これが今、日本人の多くの不安感ではないですか。

山田 先日、アルジャジーラ(中東カタールの衛星テレビ局)の記者の取材を受けました。その際、「尖閣諸島問題についてどう思うか」とこちらから質問すると、記者は「日本政府は尖閣諸島を要らないと思っているのではないのか。口だけで行動に移さない。日本人は領土を守ろうという意識が希薄だ」。

 海外の目からはそう見える。おっしゃる通り竹島と一緒なんです。抗議はするが、韓国が何をしようが、一切手出ししない。「竹島は実質的に韓国領になっている。日本はそれでいいんだろう?」と世界は見ている。

 中国は島を占領しなくても、尖閣諸島を共同管理に持ち込むだけで大きなプラスなんです。日中漁業協定のように、お互いに管理していこうと決めてしまえば、日本は実質的に尖閣諸島を失うことになる。