東シナ海も風雲急を告げてきたと思うのは筆者だけではないだろう。
日中中間線付近のガス田開発ばかりでなく、尖閣諸島周辺における中国の公船や軍艦、戦闘機などの動きをみると、明らかに「力の支配」に移行しつつあることが分かる。
日本の対話姿勢を相手は話し合いのための「抑制」とは受けとらず、「意気地なし」と見るようだ。従って、「引く」以外に対処しない日本の行動を見て、中国はどんどん出てきている。毛沢東の「敵退我進」(日本が下がれば中国が出る)のセオリー通りである。
日本の過剰な、いや異常な遠慮というか抑制が、相手に傍若無人の行動をとらせている。今や日本は中国に対して、毛沢東のもう1つのセオリーである「敵進我退」を思い出させる必要がある。
仲裁裁判所は南シナ海における中国の九段線や人工島の主張には法的根拠がないとして認めなかったが、中国は国際社会を敵に回してでも、爆撃機を飛行させるなどして「力の誇示」による支配を強めている。東シナ海でも同様の力の支配を鮮明にしてきた。
話の席に着かせ、合意を守らせるためにも、日本の主張を行動で示す必要があるようだ。そのためには、中国の挑発に乗るわけではないが、相手に文句を言わせないためにも中国的手法で押すことではないだろうか。
中国が南シナ海で強引に灯台を次々と設置していった言い分、そして東シナ海の日中中間線でのガス田施設の一方的建設を援用して、日本は自国領である尖閣諸島に灯台などの施設を設置することである。
同時に、比国の南シナ海における申し出を裁いた仲裁裁判所に、尖閣諸島の帰属を提訴するようにしたらいかがであろうか。
中国の勝手すぎる行動
中国は南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島のいくつかの人工島に灯台を設置するにあたって、「航行の安全と自由」及び「利便性」(「産経新聞」28年4月7日付)を挙げて進めてきた。
石原慎太郎氏などは早くから尖閣諸島に灯台や船溜まりを設置するように注意喚起し、実際に行動もしてきた。その後、都知事時代には国が動かないので都が買い上げる動きをして賛同者から寄付を募った。
実現する直前の段階で、政府(野田佳彦首相)が中国の反発を和らげ、「平穏かつ安定的な維持管理」をするためとして国有化した。その後も、日本は中国の顔色を伺うばかりで、実際は何もしないで、風前の灯とさえ言われる状況になってきた。
日中は2008年6月に東シナ海の日中中間線付近にあるガス田の共同開発で合意しているが、2010年9月の中国漁船の巡視船への追突事案をきっかけに交渉は中断したままである。