新しいタイプの地域おこしが
「地域資源」という言葉をご存知だろうか。その土地ならでは特産品や観光名所のことで、2007年に施行された「中小企業地域産業資源活用促進法(地域資源法)」をきっかけに注目されるようになった。
この法律で、都道府県が地域の特産品や観光名所を次の3つの類型のなかから「地域資源」として指定、それを活用した事業計画を中小企業が作り、国の認可を受けることで、さまざまな支援措置が受けられるようになった。
①地域の特産物として相当程度認識されている農林水産物や鉱工業品(野菜、果物、魚、木材等)
②地域の特産物である鉱工業品の生産に係る技術(鋳物、繊維、漆器、陶磁器等)
③文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源として相当程度認識されているもの(文化財、自然景観、温泉等)
しかし、最近は、さらに進んだ取り組みも見られるようだ。食環境ジャーナリストで、全国の地域活動へのアドバイスやコーディネートなどを行っている金丸弘美氏の著した『タカラは足元にあり! 地域経済活性化戦略』(合同出版)や『里山産業論 「食の戦略」が六次産業を超える』(角川新書)には、そんな新しい取り組みが紹介されている。
マイナスをプラスに発想を転換する
たとえば、三重県では自治体が主導してジビエを地域ブランドに育てる取り組みが行われているという。ジビエはフランス語で、食材として狩猟された野生の鳥獣やその肉のこと。
ニュースにもよく取り上げられるが、農村部では鳥獣による農作物への被害が多い。農林水産省の2011年の推計によると、その被害は年間226億円にもなるという。