クルーズトレイン「ななつ星in九州」の客車(出所:Wikimedia Commons

 本連載ではこれまで「営業強化を科学する」と題して、営業やサービスの強化のためのサービスの本質と方法論をご紹介してきました。今回はこの考え方をもとに、優れたサービスのポイントをひも解いてみたいと思います。

 書籍や講演などで、これまでにも様々な優れたサービスの事例に触れた方は多いと思います。しかし、そうした事例の施策や手段をそのまま真似ようとしても、期待通りの成果を得られないことが少なくありません。業界や会社ごとに、抱えている課題や進みたい方向が全く異なるからです。

「事例は興味深いが、自社でどのように生かしたら良いか分からない」「業界や事業モデルが違うので、自社で同じことをしても役に立たないのではないか」という声をよく聞きます。そこで、優れたサービスの事例から業種や業界の枠を超えた気付きや学びを得ていただくために「優れたサービスのポイント」をひも解いてみたいと思います。

半年間のコミュニケーションでサービスを「共創」

 今回取り上げるのは、「第1回 日本サービス大賞」(※)を受賞したサービスです。

(※)サービス産業生産性協議会(SPRING)が主催する優れたサービスを表彰する制度

 栄えある第1回日本サービス大賞の最高賞である内閣総理大臣賞を受賞したのは、JR九州が運営する日本初の豪華寝台列車であるクルーズトレイン「ななつ星in九州」です。