モンテディオ山形のホームスタジアム「NDソフトスタジアム山形」(山形県天童市)、出所:Wikimedia Commons

 県内ではほぼ100%の人に知られているが県外の人にはあまり知られていないという名物は意外と多い。例えば山形県では「冷たい肉そば」「冷やしラーメン」「山形だし豆腐」「だだ茶豆」「山形どんどん焼き」「ひっぱりうどん」「玉こんにゃく」などが挙げられるだろう。

 私は玉こんにゃくを以前に聞いたことがあったが、他のものについては山形で教鞭を執るようになるまで知らなかった。もっとも県内に住む学生たちに聞くと、冷やしラーメンくらいはたまに食べるけど、他の物はそんなに頻繁に食べるわけではないという。地元の人は誰もが食べているのかと思うと肩透かしを食らってしまう。

(1)地元の人たちであればたいてい誰でも知っている。
(2)でも、県外の人たちにはあまり知られていない。
(3)ただし、地元の人たちが日常頻繁に食べるかといえば必ずしもそうでもない。

 これはどの土地にもあることだろう。東京に長く住む私が「雷おこし」「東京ばな奈」「深川丼」などをほとんど食べた記憶がないことと同じだったりする。身近だからこそ、あまり「ありがたさ」を感じないということは、どこにでもありうる。学生時代に京都市内に4年間住んだが、そういえば当時「八つ橋」を食べたり「金閣寺」に行ったりした記憶がない。

「地元の名物」とモンテディオ山形の共通点

 冒頭から話が逸れてしまった。私が教鞭を執る東北芸術工科大学では、山形を拠点として活動するプロサッカーチーム「モンテディオ山形」と、この4月から共同講義を行った(山形モンテディオ公式サイト「モンテディオ山形×東北芸術工科大学 共同授業実施について」)。