2016年の夏を盛り上げた、リオデジャネイロ・オリンピック。奇跡的な勝利から、大本命と思われた選手の敗退まで、さまざまなドラマがありました。この記事はおそらく大会の閉会直後、まだ余韻が残るころに公開されると思いますが、みなさん「リオロス」に陥っていないでしょうか。
日本選手たちの活躍はもちろん素晴らしかった。そして、鍛え抜かれた肉体が躍動する姿には、国境や人種を超えて素直に感動させられます。「人間の体って、こんなにすごいのか」という驚きと感動を、何度も味わいました。
スポーツでは、よく「限界を超えろ」という言い方をします。今の自分の上限より、さらに上を目指して成長しよう、という意味です。スポーツには「勝敗」や「記録」という分かりやすい指標があるので、こういう言葉がなじみやすいのでしょう。
そして、「限界超え」を目指すのはスポーツだけではありません。仕事や勉強、あるいは人間関係などの日常的な場面でも、「もっと成長したい」「今の自分を超えたい」などと感じることはあるでしょう。
そこで今回は「限界を超える」というテーマについて、スポーツをはじめ、さまざまな観点から考えていきましょう。
肉体の限界より前に、心の限界に突き当たる
最初に「限界」とは何なのかを考えます。たとえば100メートル走などの種目で、記録の限界を決めているものは何だと思いますか。
まず思い浮かぶのは「肉体的限界」でしょう。ここには、筋肉が作り出すパワー(筋力)や、筋肉に酸素を送り込む能力(有酸素能力)といった生理的な要素が関わっています。そして、この方向の能力を高めよう思ったら、筋トレや有酸素トレーニングをすることになります。
ただ、実際はむしろ、肉体的な限界よりもっと手前で「心理的な限界」に突き当たるケースが多いといいます。