大学の授業は、いまや、どんどん「講義」から離れている。つまり、大講義室で何百人という学生を相手とした一方通行の「講義」はもう、はやらないと言っていいだろう。
実は米国では、25年以上も前から、大学の評価、ランキング付けのための1項目に、小クラス、小さな教室での授業の割合(すべての授業科目数における小クラスの比率)が入っていて、学生はその割合の高い大学を目指すし、親はそういう大学を勧める。
1時間分の授業を1人で喋り、時々黒板に書き、その合間にまたお話しするという講義は、英語で「トーク&チョーク(Talk & chalk)」と呼ばれる。
そのような方法をすべての授業でとっていたら、テニュアー(終身の教授職)は絶対に取れない。つまり、昇給、昇格、昇進はおぼつかないどころか、翌年の雇用契約さえも怪しくなる。
もちろん、分野によって、学生のレベルに応じて様々な形態の授業があっていい。実験、実習、セミナーと呼ばれる、演習、実技科目やインターンシップなど、またそれらの組み合わせは大いにあり得るだろう。
大講義をすべてなくせと言うのではない。小さなクラスの授業をできるだけ増やしませんかと言っているのである。私が実践した例を3つ紹介しよう。
1.異なった専門分野の教授とチーム・ティーチング
政治学の教授と2人で新しい科目を設計した。名前は「アジア太平洋の政治経済発展」とした。
マリア・チャン・モーガン(Maria Chan Morgan)教授は、香港出身の政治学教授で、ある時、私に2人で新しい科目をチーム・ティーチングしないかと持ちかけてきた。
科目数は1個減るが大学の教務担当副学長は、我々の教育担当科目数に変化はなしと認めてくれた。余分に科目を教えることなく1科目を共同で、完全に2人で、教える新しい科目の設定に許可が出た。
結局3年間、この科目をチーム・ティーチングで教えたが、とてもきつかったと同時に楽しかった。
そして評判の科目となった。