「輸出立国」である韓国が、輸出不振の長期化にあえいでいる。政府は、輸出拡大に向けた本格的な対策作りに動き出した。そんな中で出てきたのが、「総合商社」の活用だ。だが、そもそも韓国にも総合商社があったのか?
2016年7月26日、韓国政府は官民共同の「輸出投資拡大会議」を開いた。民間企業の幅広い意見を聞いて、輸出拡大対策を作ろうという狙いだ。
「マイナス輸出」に救援登板
「総合商社‘マイナス輸出’に救援登板」
7月27日付の「中央日報」は、こんな見出しの記事を1面トップに掲げ、この日の会議の成果を伝えた。
いったいどんな方針が出たのか。
いろいろな輸出拡大策が議論されたが、その中でも最も注目を集めたのが、「商社」の活用だった。商社を活用して、特に韓国の中小・中堅企業などの製品の輸出拡大をはかろうという内容だ。
具体策はこれから詰めるが、だいたいの方向がこの日の会議で出た。
まず、政府が、「総合商社」「中堅貿易商社」「中小貿易商社」を指定する。最も期待するのが、「総合商社」だ。総合商社が中小・中堅企業の製品を輸出する場合、貿易保険の料率を下げる。
カントリーリスクが高い国・地域向けの輸出についても貿易保険で優遇策をつける。また、韓国輸出入銀行の「輸出促進基金」を活用した金融支援も具体化させる。
貿易保険と金融支援を柱に「総合商社」に海外市場を積極的に活用してもらおうという狙いだ。政府の産業支援策としてはお決まりのパターンだが、ここで疑問が生じる。