前回(「もう目の前?戦闘機が飛びながらミサイルを作る日」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47316)に続いて、3Dプリンタの軍事転用の最先端の現場を見ていく。
前回指摘したように、米軍ではF-18、F-35の金属製パーツだけでなく、ついにオスプレイのエンジン部品まで3Dプリンタで製造を始めるなど、その軍事転用はとどまるところをしらない。
そして、中国軍も2001年(実質的には1995年)より本格的な研究を開始しており、3Dプリンタの実戦配備を進めている。他方、自衛隊のレベルは1995年以前のレベルにとどまっている。今回はその深刻な技術格差を実例をもとに指摘したい。
研究だけでなくすでに実戦配備も
中国軍は、軍事転用可能でありチタン合金等を扱える3Dプリンタの研究を2001年に開始していたという。西北工業大学は1995年から金属粉末をレーザーで焼結する3Dプリンタ方式を研究していたとの報道もあり、明らかにこれは軍事転用を見据えてのことだろう。その甲斐もあり、今や民生用でも中国は米国に続く3Dプリンタ大国である。
軍事面では既に研究だけでなく、実戦配備も行われている。
具体的な用途は、様々な部品や兵器システムの試作品の作成、量産、修理に活用されている。特に著しいのは航空機部門だろう。中国は軍民問わず、3Dプリンタによるチタン合金部品製造で世界のリーダーになることを目指しており、既に9割の航空関係の原材料を3Dプリンタで生産でき、コストは従来の5%で済むという。しかも、剛性を維持したまま40%の重量削減に成功した部品もあるという。