ロシア、欧米の食品を禁輸 航空便の上空通過禁止も示唆

経済制裁を科した欧米諸国から食料品の全面輸入禁止を指示したロシアのドミトリー・メドベージェフ首相〔AFPBB News

 旅先での思い出は、良いも悪いも食事にまつわることが多く、ロシア旅行も例外ではない。ロシアへ団体旅行をされた方からよく聞くのは、旅行中に食べた牛肉料理について、予想以上に美味しくなかった、というコメントである。

 曰く、硬い・味がない・臭みがある・食感がぱさぱさ、などなど。また、ステーキをどのように焼くか、とウェイターが聞くので、ミディアムと指示したところ、出てきたのはウエルダンだった、という話もよくある。

 食事での失望が、ロシア旅行全体の印象を悪くするとは、友人の添乗員の言葉である。

 ところが、我々、ロシアで生活している人間は、ロシアの牛肉は世界一ではないか、とまで思っている。そこで、今回はロシアの牛肉について、少しご紹介し、ロシアの印象を改善するお手伝いをしたいと思う。

経済制裁で高級牛肉の輸入が停止

 美味しいロシア産牛肉がスーパーに現れ、そのビーフステーキを主たるメニューに据えたステーキレストランがモスクワの街に点々と現れたのは、実はつい最近、2010年頃からのことである。

 特に、2014年のウクライナ・クリミア紛争を契機に、欧米諸国が対露制裁に入り、ロシアは制裁国からの食料の輸入を禁止した。このため、従来輸入されていた高級牛肉はすべてロシア産に切り替わり、国産肉を提供するステーキレストランが一挙に増えた。

 それまでの牛肉の質と言えば、実は冒頭に書いた旅行者のコメントが、まさに正鵠を射ている。

 肉が固く、味がないため、ビーフステーキという料理はしっかり味付けをしたソースときのこを載せて、牛肉の存在を忘れるような料理にするか、あるいは、ストロガノフと言われる、牛肉を細く切ったものをシチューで煮込んだ料理に化けるか、とにかく肉だけを食するステーキはほとんどなかった。

 シャシリクという、コーカサス風焼き肉でも、人気のあるのは、ポーク(豚)とラム(羊)で、牛肉は値段が高いだけで美味しくない、と散々の評判であった。

 なぜ、ロシアの牛肉が美味しくないのだろうか。多くの解説によると、これはソ連時代からの歴史的遺産なのだと言う。ソ連時代から、ロシアは乳製品が大変豊富で、その製造のために乳牛の飼育は全国的に盛んだった。