熊本地震、南阿蘇で不明9人捜索 「72時間」迫る

熊本県南阿蘇村で、地震による土砂崩れに巻き込まれた地区で行方不明者を捜索する救助隊員(2016年4月18日撮影)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News

 私のメルマガ「内側から見た半導体村」の読者の中に、熊本県で真空ポンプの修理・保守会社を経営している知人(Aさん)がいる。そのAさんから4月22日、「実は私、益城町に住んでいます。今回の地震をモロに受けました」というメールを受け取った。

 益城町は、一連の熊本地震で最も被害が大きかった地域である。私はAさんが益城町に住んでいることを知らなかったので、大いに驚いた。幸い、ご本人、ご家族、従業員は無事だったとのことで、まずはホッとした。

 益城町では、4月14日および16日に、2度にわたり震度7を観測した。震度7は、激震と名付けられた最大級の地震である(それ以上の震度はない)。

 国内で震度7を観測した地震を気象庁のデータベースで検索すると、全部で5回ある。1995年の阪神大震災、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、そして今回の熊本地震の2回である。つまり、益城町は、日本でわずか5回しか記録されていない震度7の大地震に、28時間の間に2回も襲われたのである。

 この益城町の知人(Aさん)から、地震にあったときの詳細でリアルなレポートを送っていただいた。震度7を2回経験した日本人は益城町にしかおらず、非常に少ない。そういう意味では、このレポートは大変に貴重である。本稿では、可能な限り忠実にそのレポートを紹介したい。その上で、Aさんの強烈な体験を基にした教訓を示したい。

熊本地震の経過

 Aさんのレポートの前に、熊本地震の経過をおさらいしておこう。分かりやすいように、4月14日以降、震度1~7の地震の合計回数と、震度4~7の強い地震の回数について、3時間ごとの推移をグラフに示す(図1)。

図1 熊本を中心とする震度1以上および震度4以上の地震の回数 (出所:Wikipediaを基に筆者作成)