「あのポスコが・・・」。韓国の産業界で、大きなため息が漏れている。韓国を代表する鉄鋼大手のポスコが2015年決算で会社創立以来初めての赤字に陥ると発表したのだ。ポスコだけではない。韓国の看板企業で不安の声が急拡散している。
2016年1月18日、ポスコの発表に韓国の産業界が驚いた。
「2015年決算を最終集計中だが、純損失が赤字に陥る可能性が高い」と発表したのだ。
それから10日後の1月28日、ポスコは「2015年の連結決算で960億ウォン(1円=10ウォン)の赤字に陥った」と発表した。
この日の会見で権五俊(クウォン・オジュン=1950年生)ポスコ会長は「不断の努力にもかかわらず世界的な景気停滞と為替の変動などで昨年の連結決算で初めて純損失を記録してしまったことに最高経営者として責任を痛感している」と語った。
ポスコはもちろん韓国を代表する高収益企業だった。2012年の純利益は2兆3856億ウォンを記録した。ところが、翌年から大幅減益が続いている。
ポスコ、利益がどんどん減少して・・・
2013年の純利益は1兆3550億ウォンと一気に1兆ウォンの減益になった。続く2014年には5567億ウォンとさらに半減以下になった。2015年にもこの流れは止まらず、ついに赤字決算になった。
ポスコの決算が赤字になった大きな原因は、グループ企業の不振だ。過去数年間、企業買収を重ねてグループの規模を拡大させた。しかし、多くの企業の業績が悪化して巨額損失を計上する羽目になった。
さらに為替差損や海外資産の売却損など「営業外損益」が膨らんでしまった。保有株式の評価損も計上した。
だが、以前ならこうした営業外損失があっても、本業でがっちり稼いでカバーできた。問題は本業も打撃を受けていることだ。
本業でカバーできなくなり、創業47年目の赤字転落
中国での供給過剰などをあおりで鉄鋼事業の業績はここ数年急速に悪化してしまった。2011年に5兆4677億ウォンだった営業利益は、2012年3兆6531億ウォン、2013年2兆9961億ウォン、2014年3兆2135億ウォンとなり、2015年には2兆4100億ウォンになってしまった。
さらに、インドネシアに建設した製鉄所で巨額の赤字が止まらず、本業の足を引っ張ってしまった。
「中国ショック」で鉄鋼が市場であふれ、さらに中国経済の成長鈍化で新興国市場の経済が悪化したこともあり、本業の鉄鋼事業でも苦境に立っているのだ。