韓国ソウルの青瓦台(大統領府) (c) Can Stock Photo

 「政界は一寸先は闇」とは言われるが、韓国の政界、産業界でびっくりの人事があった。2012年末の大統領選挙で朴槿恵(パク・クネ=1952年生)候補(当時)の経済政策ブレーンだった人物が、第一野党の事実上の党首になったのだ。この人物の信念が「経済民主化」ということで、産業界も戦々恐々だ。

 2016年2月2日は、朴槿恵大統領の満64歳の誕生日だった。政界はこの日、誕生日を祝う贈り物の「蘭騒動」の話題で持ちきりだった。

大統領誕生日の「蘭騒動」

 この日朝、第一野党「ともに民主党(以下、民主党)」の事実上の党首である非常対策委員長が大統領の誕生日を祝う「蘭」を送りたいと青瓦台(大統領府)に連絡して準備までした。ところが、「丁重にお断りする」との答えが返ってきた。

 「野党党首がお祝いをするというのに、どうして拒絶すのか」。野党側は準備した蘭を報道陣に公開して反発した。騒ぎが大きくなると、午後になって、青瓦台が「政務首席秘書官がそういう判断をしたが、あとから大統領が報告を受けて強く叱責した」として「拒絶」を撤回し、大統領秘書室長がお詫びとともに蘭を受け取ったのだ。

 蘭を受け取るか受け取らないかのやり取りだったが、政界やメディアでは、「やはりか・・・」という声も聞かれた。というのも、蘭を送った党首が、大統領とは特別な因縁のある人物でもあるからだ。

野党党首に大統領元ブレーンが・・・

 2016年1月14日、民主党は、仰天人事を発表した。前回の大統領選挙にも出馬した文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)代表が辞任し、党の運営や選挙対策を「非常対策委員長」に事実上一任することになった。

 4月13日の国会議員選挙を前に党の代表など幹部が辞任し、新たに就任する非常対策委員長に、事実上の党首の役割も兼務させることになった。

 野党内で分裂の動きが起こり、この責任を取って代表が辞任したのだが、非常対策委員長に就任した人物がびっくりだったのだ。